山田美保子氏が持論「『不倫100%悪い』報道は恐ろしい」
長らく放送作家としてテレビ界でお仕事をさせていただいていますが、これほど不倫スキャンダルが連発する“当たり年”は記憶にありません。少なくとも「ゲス不倫」などというキャッチーなネーミングで糾弾されるようなことはなかったはず。かつて2人の女優をてんびんにかけた山路徹さんはスキャンダルで仕事が増え“役得”でしたが、こんなケースはもうないかもしれません。
「不倫報道」の是非――既婚の身でありながら恋愛関係となる是非を問うなら、当事者の2人は間違いなく100%悪い。どんな事情があるにせよ、不倫を肯定するような報道をしてはならないと思っています。とくに民放のテレビ局の場合、スポンサー企業からお叱りを受けることはなるべくなら避けたい。もっとも、視聴者からのクレーム方法も多様化する昨今、たとえばツイッターのアカウントを変えて違う人物を装い、「傷ついた」「不快だ」などと繰り返し訴える場合もあります。制作陣は、本当に不快を感じている視聴者は全体の何%ぐらいなのか、悩みながら手探りで作っていますね。
ただ個人的には「100%悪い」の報道は、とても恐ろしいことだと感じています。ゲス不倫といわれる「ゲスの極み乙女。」の川谷絵音さんとベッキーさんの一件を振り返れば、既婚男性が「妻とは別れるから、いいよね?」なんて口説くのは常套手段であり、日刊ゲンダイの読者ならよ~くお分かりのはず。横恋慕したベッキーさんも、いくら世間に糾弾されようが愛を貫く、という選択肢もあったように思う。先輩格の矢口真里さんは“間男”だった彼氏と結婚を視野に入れた交際を続行しているわけで、これまでも略奪婚した女優やタレントもたくさんいます。そして、変わらず芸能界で活躍なさっている。ベッキーさんだけを執拗に断罪するスタンスはフェアじゃなかったという気がします。