テレビに全てを捧げる マツコ・デラックスが得た「救い」
面白いことを考えると思ったが、こういう消費のされ方をされたら自分は一過性で終わってしまうと感じ断った。その判断は正しかった。程なくして深夜で「マツコの部屋」(フジテレビ)が始まる。
そのタイトル通り、完全にマツコがメインの番組。開始からしばらくしてマツコは「これはえらいことになるぞと。生半可な気持ちでやってたら、のみ込まれる」(日本テレビ「宮根とマツコ 新春ミヤネ屋デラックス」18年1月4日)と思った。
だから、事務所の社長に「辞めたい」と伝えたこともあった。けれど、もう一度覚悟を決め、「やっぱり社長アタシやるわ」と言った瞬間から、「テレビにすべてを捧げる人生」(同前)になったという。
唯一の趣味だった「女装しておふざけする」というのを仕事にしてしまった。だから、「趣味がなくなっちゃった感じがして喪失感の方がデカい」(テレビ朝日「夜の巷を徘徊する」17年11月16日)。それでも、ずっと居場所がないと感じて生きてきたマツコにとって、自分を認めてくれ、求めてくれるテレビは自分にとって「救い」でもあった。
「だから、魂を売ったんだよね。もういいや、あんたたちに(アタシの魂を)あげるわって」(「新春ミヤネ屋デラックス」=前出)
テレビに愛されたマツコこそ、テレビをもっとも愛している人のひとりなのだ。