Amazon配信から映画化「仮面ライダーアマゾンズ」の勝因
日曜朝9時に放送されている青少年向けの仮面ライダーと“同じ”と思ったら大間違いだ。公開中の「仮面ライダーアマゾンズ THE MOVIE 最後ノ審判」(東映製作・配給)は、2016年からAmazonプライム・ビデオで2シリーズ配信され、人気を博し映画化された。アマゾンつながりのダジャレから生まれた企画。平成仮面ライダーシリーズの礎を築き、その世界観を知り尽くした石田秀範監督(55)だからこそ成立した「アマゾンズ」の舞台裏を聞いた。
「ネット配信版を手がけるにあたり、難しさやつらさを感じたことは一瞬たりともありません。とにかく面白いものを作れば、後は何をやってもいい。昨今のテレビはコンプライアンス重視で、テーマもビジュアルも安心安全が最優先に求められます。視聴者が嫌悪を抱く描写は排除する。そういうテレビの規制をクリアにするのはとても難しいのですが、ネットは不道徳も不健全も許容してくれる。この世界に三十数年いますが、跳び上がるほどうれしかった。最も充実した仕事でした」
これまで「お客さんに忖度しまくっていた」と話す石田監督は、まず自身の凝り固まった意識改革を行った。刃物を使って血しぶきが飛ぶ。顔面を殴る。テレビではタブー視される残酷描写が数多くある。万人受けするものははなから目指さず、「自分たちがやりたくて、やりたくて。でも、できなくて。そんな悶々とした熱量をぶつけよう」と現場で指示したという。