沖縄出身歌手を一大勢力に 引退した安室奈美恵の最大功績
〈出られるなんて想像もしてなかった。『今年も営業かな』って皆で話してた。九五年の忙しさが信じられない。だって、ずっと同じことしてるんだもの〉(1996年1月23日=毎日新聞夕刊)
CDデビュー4年目で「NHK紅白歌合戦」初出場を果たした95年の大みそかに取材を受けた18歳は、世間の狂騒をよそに、こう述べていた――。
日本の音楽シーンをけん引してきた安室奈美恵(40)が、9月16日限りで引退した。
オリコンチャートで、シングル・アルバムを通じて歴代アーティストで唯一の10代、20代、30代、40代という4年代でミリオンセラーを記録するなど、彼女の偉業は数え切れないほどある。
中でも、音楽業界に“沖縄出身歌手”を定着させた功績は大きい。
国民的人気番組である「紅白歌合戦」を例に取ると分かりやすい。
戦後間もない1951年から始まった同番組において、安室以前の沖縄出身の出場歌手は仲宗根美樹(62~67年)、南沙織(71~77年、91年)、EVE(90年)、喜納昌吉(91年)の4組だけだった。80年代に至っては、1組も出ていなかった。