渡辺大さんにW受賞をもたらした授賞式前の“軽いノリ1枚”
渡辺謙の長男、大さん(34)にとって節目となる出来事は昨夏のことだ。7月にスペインで開催されたマドリード国際映画祭で主演映画「ウスケボーイズ」が最優秀主演男優賞(外国語部門)と最優秀作品賞(同)のダブル受賞の栄誉に輝いた。この写真はその時のものだ。
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「授賞式の会場で私たちの映画のパネルを見つけたので、柿崎ゆうじ監督と共演者と一緒に記念写真を撮りました。受賞できるとは思っていなくて、授賞式の前に撮っておこうという軽いノリでした。ですから、この後、まさかダブルで賞を頂くことになるとは思いもしませんでした」
日本のワインを世界レベルに引き上げた醸造家の麻井宇介。その思想や栽培方法を受け継いだ若者がワイン造りの歴史に挑む映画が主演の「ウスケボーイズ」である。
「もちろん受賞したいという思いはあったのですが、意気込みすぎると空回りする気がして。この写真を撮る時はなるべく平素な気持ちでいるように努めていました」
先に発表されたのは主演男優賞の受賞。
「28カ国のノミネート作品が授賞式の前に15秒くらいで上映されるのですが、私の映像も上映されました。他の作品と肩を並べることができただけでも、とてもうれしかった。ですから、主演男優賞受賞と発表された時は本当にびっくり。頭の中になぜか、宇介さんを演じた橋爪(功)さんのいるぶどう畑のワンシーンが浮かんだのを覚えてます」
これまで映画賞とはあまり縁がなかった大さんにとって役者としてのひとつの区切り、節目になる受賞でもあった。
「17歳から役者をやってきて、これからも役者をやっていくために、こういった賞を頂くことができてよかったなと思いました。10代、20代を経て、30代半ばになって試行錯誤している中で指針となるものができたような気がします」
続けて、実は一番欲しかった作品賞も受賞することができた。
「その喜びは言葉で言い表すことができません。2冠なんて、そうそうないことですから」
その瞬間、監督や共演者、関係者と顔を見つめてうなずき合い、固い握手を交わし、喜びを分かち合った。