一つ一つの“歯車”を最大限魅力的に見せる三谷幸喜の神髄
「やっぱり、集団の中の歯車のひとつになりたいっていう思いがあるから、この仕事を選んだ」(三谷幸喜/NHK「ごごナマ」9月4日放送)
当代随一の脚本家である三谷幸喜(58)。「ホントに自分のやりたいことを完璧にやりたいと思ったら、小説家になってたと思う」と語った上で、脚本家を選んだ理由を語った言葉を今週は取り上げたい。
幼い頃から本が好きで、お年玉のほとんどを本に費やし、ミステリー小説や戦国武将の人名辞典などを読みあさっていたという。自然と文才が身についていた。
日本大学芸術学部に進学し、脚本作りを学ぶと、在学中の1983年に劇団「東京サンシャインボーイズ」を旗揚げ。西村まさ彦、伊藤俊人、小林隆、松重豊、梶原善、甲本雅裕、相島一之ら、その後、映画・ドラマに欠かせない名バイプレーヤーとなっていくメンバーが揃っていた。
三谷は89年から「やっぱり猫が好き」(フジテレビ)の脚本を手掛け、一般にも名が知れるようになり、その後、三谷が手掛けるドラマなどに劇団員も出演するようになった。東京サンシャインボーイズは人気絶頂を迎えた。しかし、そんな94年に突然、劇団の活動休止が発表された。