志村けんが27日に再登場 古関裕而と山田耕筰の本当の関係
■山田の曲をすべて空で覚えていた古関
その後、県立福島商業学校に進んだ古関がよく購入するようになったのは、日本で初めて交響曲を作曲した山田耕筰の楽譜だった。あまりに夢中になり、決して安くない楽譜をまとめて購入し、父から怒られたこともあったという。そのおかげで、発行されていた山田の曲はすべて空で覚えていたほどだった。
曲を作るのも山田の著書「作曲法」で勉強した。そうして完成した曲の中から数点を、まったく面識のない山田に手紙とともに送った。それが数回にわたったが、そのたびに山田は返信を寄こし、「がんばりなさい」など励ましの言葉が添えられていた。
エールでも描かれているが、古関をレコード会社の日本コロムビアに推薦したのも、同社の顧問を務めていた山田だった。まさに作曲家・古関を世に送り出した最大の恩人だったわけだ。その一方で、ドラマでは若き才能に嫉妬して、レコーディングに横やりを入れる山田の姿も描かれている。ただ、そうした事実はいくら調べても確認できなかった。演出家や脚本家の創作と考えたほうがよさそうだ。
この山田耕筰をモデルとした小山田耕三を演じているのは、3月29日に新型コロナによる肺炎で70歳で亡くなった志村けん。再放送シリーズでは7月27日に登場する。何度でも目に焼き付けておきたい。