かまいたち濱家が東京の怖さを知って磨いた“映える負け顔”
当時の濱家のイメージを山内は「(プロレスラーの)佐々木健介がやっていたパワー・ウォリアー」(文芸春秋「文春オンライン」19年5月31日)と例える。肩にトゲトゲをつけ武装し、誰もイジられないような強い存在だった。あくまでも自分はカッコいい、イジる側。弱みを見せるという発想すらなかった。
ところが東京に来ると、真っ先にフジモンこと藤本敏史が「アメトーーク!」や「ロンドンハーツ」でイジられ慣れた山内ではなく、濱家をイジり始めた。当初は「いじられたことないから、いじられて一塁に走らずに三塁に走り出すっていう事態が相次いでる。今はまず一塁に走ることを練習している」(同前)と山内は語る。
フジモンのイジりが、あまりにも矢継ぎ早で濱家はパニックになった。そんなことになるとは全く予想できず、楽屋に戻ると首をかしげながら山内に「俺、こっちか?」と聞いた。「フジモンさん求めてるの何?」と山内に相談したという(テレビ東京「あちこちオードリー~春日の店あいてますよ?~」20年6月16日)。
大阪に帰ると、後輩たちから「兄さん、そんなんでしたっけ?」と言われるようにもなった。新しい扉が開いたというより「底が抜けたという感覚に近い」(宝島社「FASHION BOX」20年2月13日)と自嘲する。