戦時中、海外に駐留する日本軍の慰問興行から芸能プロに
現代の芸能プロダクションは、非常に大まかに分けて5つの潮流に区分けされる。
①明治期の自由民権運動から勃興した演歌や、同時期に派生した浪花節(浪曲)をルーツとしたプロダクション。
②大正期以降に劇場経営を始め、劇場や寄席に出演させていた噺家や漫才師をそのまま所属させたプロダクション。
③映画会社の専属俳優もしくは役者部を本社と切り離して立ち上げたプロダクション。
④戦時中、海外に駐留する日本軍を対象として行われた慰問興行から、歌手や一座のマネジメントを請け負うようになったプロダクション。
⑤戦後、米軍キャンプを回ったジャズマンが、そのまま自身の仕事の窓口として起業したプロダクション。
本連載の主人公、野口修の実家である野口家が上海の日本租界で起業した野口興行部は④に該当する。ちなみに、戦後の日本芸能界に帝国を築いた渡辺プロダクションや、和田アキ子、綾瀬はるか、深田恭子ら人気芸能人を多数抱えるホリプロは⑤である。吉本興業は言うまでもなく②となる。