五木ひろしの光と影<25>野口修は「『夜空』でいける。短期決戦だ」とはねつけた
夏の終わりのことである。軽井沢にある山口洋子の別荘でちょっとした宴会が開かれた。野口修、平尾昌晃、徳間音工のスタッフ、TBSのキック中継のスタッフ、「姫」のホステスとポーター、野口プロのマネジャーら20人ばかりが集まった。沢村忠も顔を出していた。
「洋子ちゃんはそういうお祭りが大好きで、忙しいときほど、そういうことをやっていた。本人は飲めないのにだよ。このときは夕方くらいからみんなが集まって、酒を飲んでバカ騒ぎ。僕も早くに仕事を切り上げて、車を飛ばして行った。深夜になって麻雀大会になった。僕は麻雀はやらないから、ベランダで酒を飲みながらギターを弾いていたの。確かそのときに、沢村君とゆっくり話をした記憶がある。彼は意外と洒脱な人なんだよね」(平尾昌晃)
都心では見られない美しい星空を眺めていたら、自然にメロディーが湧き出てきたという。
「軽井沢に行ったことある? 星がめちゃくちゃ奇麗なのよ。それで調子に乗ってポロポロ弾いていたら止まんなくなってさ。『これ、いいじゃん』って。麻雀やってる洋子ちゃんと野口さんに、『ねえねえ、こんな曲できたんだけど』ってその場で聞かせたら『いいわねえ』なんて言ってる。そのまま、ベランダで一曲作っちゃった」