宮内庁がSNS活用で情報発信を強化 お手本の英王室が何をしているのかご存じ?

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 エリザベス女王の国葬を見た後で安倍元首相の「国葬」を見た印象を率直に言えば、同じ十数億円の費用をかけたのに、日本の国葬はずいぶん貧弱に映ったことだ。イギリスは、王室をどう見せるかに関しては、やはりプロのようだ。

 今年の8月末、宮内庁は広報体制を整備する一環として、SNSの活用を検討しているとし、そのために3人の職員増員の予算要求をすると発表した。おそらく秋篠宮家の眞子さんと小室圭さんの結婚に対するバッシングが繰り返されたにもかかわらず、宮内庁が何ら情報を発信しなかったことに批判があったからだろう。

 貧弱な広報体制が一朝一夕に変わるとは思えないが、やっと腰を上げたということだろう。具体的にどう発信するかはまだ定まっていないようだが、日本の皇室はこれまで英王室をお手本としてきただけに、SNSを活用した情報発信も英王室を参考にするのではないかといわれている。

 イギリス王室はFacebook、Twitter、Instagram、YouTubeといったSNSをフルに活用してることはよく知られている。

 王室のメンバーは個人のアカウントではなく、ケンジントン宮殿やクラレンスハウスといった公邸が運営するアカウントを使っていて、例えばClarence House Twitterといえば皇太子時代のチャールズ新国王の、Kensington Royal Twitterはウィリアム王子夫妻のアカウントだ。Royal Family Instagramのフォロワーは実に1326万人もいる。また「The Royal Family Channel」で検索すれば英王室のYouTubeチャンネルが出てくるが、日本の無声映画のような無味乾燥な皇族紹介動画と違って生の声も聞こえる。映像や動画にリアリティーがなければ、伝えたいことも伝わらないだろう。

 英王室が積極的に広報活動を始めたのは、それほど昔のことではない。転機になったのが、王室を離れたダイアナ元妃が1997年に自動車事故で亡くなった時だった。ダイアナ元妃が王族でないことを理由に事故を無視したことで、エリザベス女王が国民から猛烈な怒りを買ったのである。英王室のすごいのはそのあとだ。

 国民との距離が遠くなれば、例えば王族が中心になってチャリティー活動を始めても、募金が集まらなくなって、チャリティー活動だけでなく王室の評判も落ちてしまう。国民が背を向ければ王室が成り立たないことに気づいたのか、すぐさま公式ホームページを開設して、王族の仕事ぶりや日常の活動などを積極的に公開し、国民との距離を縮めたものだ。ちなみに宮内庁も1999年にホームページを開設しているが、当時から進化しているとは思えない。

 英王室の情報公開が功を奏したのは、ヘンリー王子とメーガン妃が王室を離脱した時だといわれる。メーガン妃がアフリカ系アメリカ人であることに差別発言があったことなどが暴露されたのだから、当然エリザベス女王に批判が集中するものと思ったら、国民の多くが女王を支持したのである。これも積極的に情報を公開してきたからだといわれる。

 さらにこの時、ヘンリー王子とメーガン妃に誹謗中傷を浴びせられたことから新たにガイドラインを発表してユーザーにマナーを求めた。具体的には他人を中傷したり欺いたり、攻撃、脅迫、憎悪に満ちたコメントを控えるように求め、人種、性別、宗教、国籍などで差別を助長するコメントは受け付けないとし、ガイドラインに従わなければコメントの削除もしくはブロックするとしたのだ。

 当然こうしたことは宮内庁も学んでいるだろう。ただ、イギリスで成功したからといって、果たして日本でもうまくいくかどうかである。


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