亡き佐藤蛾次郎さんが語った渥美清のこと、松田優作のこと…そして酒の失敗談
映画「男はつらいよ」シリーズで題経寺の寺男「源公」を演じて人気だった佐藤蛾次郎さんが今月10日に亡くなった。78歳だった。
佐藤さんは日刊ゲンダイのインタビューに何度も登場してくれた。「あの人は今こうしている」「私の秘蔵写真」「涙と笑いの酒人生」などだ。どれも蛾次郎さんならではのユニークな話ばかり。
蛾次郎さんは銀座でカレー屋をやっていて、寅さんシリーズの10作目からスタッフにカレーを差し入れ、大盤振る舞いしていた。寅さん、渥美清は裏方に食べてもらおうと、普段は口をつけるだけだったのだが、遺作となった第48作の時には大盛りを食べ、元気をつけようとしたという。その寅さんの最後の言葉が耳に残っている……。
「蛾次郎、おいしかったよ。いつもご苦労さんだったねえ。ありがとうよ」
松田優作との思い出もある。映画「あばよダチ公」(1974年)で共演してロケの途中なのに昼からビールを飲んで急に親しくなり2人でよくつるむようになった。ある日一緒に飲んでいた時のこと。店の客が蛾次郎さんをちゃかして呼び捨てにしたという。それにエライけんまくで松田優作が怒り出し、「ちょっと殴ってきます」と言って席を立った。蛾次郎さんは喧嘩沙汰になったら大変と慌てて止めに入ったという。