亡き佐藤蛾次郎さんが語った渥美清のこと、松田優作のこと…そして酒の失敗談
酒を飲んでの究極の失敗談もある。大阪で仕事を終え、東京に戻る新幹線でビールやウイスキーをかなり飲んで、トイレに入り、そのまま眠ってしまった。気がついたら車内には誰もいなくて、なんとそこは小田原の新幹線鴨宮保守基地だったという。東京駅に着いた新幹線が乗客を降ろした後に、小田原まで移動したのだが、なぜそうなったかというと、トイレに入って鍵をかけるのを忘れてしまい、車掌も見逃してしまったのだ。
目が覚めてウロウロしていたら、そこに職員がやってきて目と目が合った。職員が目を丸くして驚いていたそうで、「幽霊でも現れたと思ったんじゃないの」。
その日は東海道線に乗って帰り、品川駅まで夫人に車で迎えに来てもらった。
「まあ、一生に一度の大ドジだな」
源公らしいエピソードにあふれた、佐藤峨次郎さんの生涯だった。
(峯田淳/日刊ゲンダイ)