1985年のNHK紅白歌合戦 大トリの森進一さんがボー然と立ち尽くしていたワケ
■「ナオコさん、大丈夫かな…」
白組の大トリはフィアンセの森進一さん。本番では可哀想になるくらい緊張している昌子ちゃん。「ナオコさん、大丈夫かな……最後まで歌えるかな……」。歌の途中で泣き出しちゃうんじゃないかって。そりゃあ、もう、不安で不安で、さすがの昌子ちゃんもステージ裏でオロオロ。だからアタシも「大丈夫、大丈夫。昌子ちゃんだったら最後まで歌いきれるから!」って何度も強く励ましたことを覚えています。
で、いよいよトリ。昌子ちゃんは感極まって、嗚咽しながらも、しっかり歌いきりました。まさに熱唱。ああよかった! アタシもホッとして一生懸命、手を叩いていたら、なんと、歌い終わった昌子ちゃんが、ステージ袖にいたアタシに走り寄って来て抱きついたんです。
アタシも感動して「よく頑張ったね」って抱きしめてあげたの。そして、ふと、ステージ中央に目をやると、森進一さんがこっちを見ながらその場で、ボー然と立ち尽くしてるじゃないですか。きっと、昌子ちゃんが歌い終わったら、進一さんが近づいて肩を抱く……みたいな流れだったんじゃないのかな。けど、昌子ちゃんたら、アタシの顔を見たとたん、感極まって、そんなこと頭から飛んじゃったのね、きっと。
その時、2人の将来への心配が、アタシの脳裏をよぎったかどうかはよく覚えておりませんが(苦笑)。
(構成・藤井優)