グラドルやモデルがまるで本物…増殖する「AI美女」の可能性とリスク
詐欺や過剰な課金に発展する可能性も…
「グラビアアイドル『幻想』論」の著書もあるグラビア評論家の織田祐二氏はこう話す。
「30年近くグラドル関連の仕事をしてきましたが、個人的にはピンときませんけどねえ。人間本来の微妙な肉感、表情、エロさが伝わってこず、まだまだ人間のグラドルは奥が深いと思います」
「ただ……」と織田氏は続けた。
「決して無視はできない存在だと思います。“2次元ファン”とは親和性が高そうですし、ウカウカしていたら、生身が負けると警鐘を鳴らしているグラドルファンもいます。“新たなジャンル”として定着する可能性は否定できません」
一方、すでに「AIタレント」を擁する芸能事務所なども誕生しているが、ITジャーナリストの井上トシユキ氏はこう話す。
「すでにアメリカではAIで生成されたファッションモデルをECサイト向けに月額15ドルで利用できるサービスがあり、撮影に予算をかけられない小規模事業者の間で定着しつつあります。今後、AIのモデルやグラビアアイドルが理想型として受け入れられていく余地は十分あるでしょう」
現在、「AI美女」は、静止画が中心だが、今後、バーチャルアイドルの初音ミクのように人工知能を搭載し、歌ったり話したりできるようになることは技術的にすでに可能という。いずれ3D映像やプロジェクションマッピングと結びつければ、コンサートや撮影会などもできるようになるらしい。しかし、そこには問題もありそうだと井上氏は続ける。
「2015年には日本マイクロソフトが『元女子高生AIりんな』という、非常に共感能力の高いAIを公開し、なんでも悩みを聞いてくれるので爆発的なヒットとなりました。しかし中国で、あまりにそれにハマり、莫大な課金をする人などが続出し社会問題化しました。今後、AIを使って実在するかのような“謎の美女”として展開するなど、リアルとバーチャルの区別をつかなくさせる手法が出てくると、詐欺や過剰な課金などに発展する可能性はありますね」(井上氏)
「AI美女」は大きな可能性と同時にリスクもありそうなのである。