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てれびのスキマ 戸部田誠ライタ―

1978年生まれのテレビっ子ライター。「芸能界」というビジネスは、いかにして始まったのか。貴重な証言を収録した「芸能界誕生」(新潮新書)。伝説の番組「アメリカ横断ウルトラクイズ」を基に描く青春群像ノンフィクションノベル「史上最大の木曜日 クイズっ子たちの青春記」(双葉社)。2つの最新著が絶賛発売中!

小島よしおには笑いの才能はないが、人を元気にする才能はある

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生まれてくる子には新ネタ

 きっかけは10年に行った単独ライブでの出来事だった。見に来ていた関係者の連れてきた子供が、始まって30分も経たないうちに「帰りたいよー、つまんないよー」と泣き出してしまったのだ。それがショックだった。

 その頃、「いっそのこと子供向けにやってみれば?」と提案してくれたのが、ピン芸人になった頃からずっと遊んでくれていた先輩、東京ダイナマイトの松田大輔だった。「松田さんがいなかったらお笑いやってない」というほどの恩人だ(テレビ朝日系「アンタウォッチマン!」23年11月28日)。

 翌11年から単独ライブのタイトルを「小島よしお的おゆうぎ会」として“子供向け”を打ち出した。とはいっても、浸透するまでは5~6年かかった。やはり松田の提案でつくった「ごぼうのうた」や、YouTubeチャンネル「小島よしおのおっぱっぴー小学校」などの地道な活動で、認知されていった。

 子供たちの前で「そんなの関係ねえ!」とひたすら全力でやっていく中で、気付いたことがある。それは飽きるほどやったネタでも「生まれてくる子には新ネタ」(テレビ東京系「あちこちオードリー」23年10月4日)だということだ。

 冒頭の番組では「笑いの才能はないけど、人を元気にする才能がある」と胸を張る。そんな稀有な才能に磨きをかけた小島よしお。もはや彼の前で「帰りたいよー」と泣く子供はいない。

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