本橋信宏
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本橋信宏作家

1956年、埼玉県所沢市生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。私小説的手法による庶民史をライフワークとしている。バブル焼け跡派と自称。執筆はノンフィクション・小説・エッセー・評論まで幅広い。“東京の異界シリーズ”第5弾「高田馬場アンダーグラウンド」(駒草出版)発売中。「全裸監督 村西とおる伝」(太田出版)が、山田孝之主演でNetflixから世界190カ国同時配信決定。

ジュリアナをバブルの象徴にする愚かさ

公開日: 更新日:

 ジュリアナのお立ち台ボディコンギャルを歴史のシーンで使うなら、バブル崩壊後の世知辛い時代を象徴するものとして使うべきなのだ。

 どうしても熱気あふれるディスコシーンを使いたいなら、バブル期に営業していた「マハラジャ」にすべきだ。もっとも、お立ち台もジュリ扇もない。スーツの女性たちばかりで、だいぶ雰囲気は異なるが。

 たかが1、2年の誤差でそんなに目くじら立てなくても、と言うかもしれない。

 並木路子が歌った戦後のヒット曲第1号「リンゴの唄」(作詞・サトウハチロー、作曲・万城目正、編曲・仁木他喜雄)は、終戦直後の46年1月にリリースされた。焦土と化した東京の青空に流れた「リンゴの唄」は、敗戦下の国民にかすかな希望を与えてくれた。もしもこれが1年前、戦時中にリリースされたとしたら、まったく曲の印象も時代背景も違ってしまうだろう。

 歴史において、1、2年の誤差はけっしておろそかにできない。しっかり指摘し続けないと、間違った史実が大手を振ってしまうのだから。

【連載】本橋信宏 萌える火曜日

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