室井滋さんの生活が激変するまで…若い頃は酒、麻雀、釣り三昧「元祖オヤジギャル」と呼ばれていた

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「発売は東日本大震災のあった2011年の5月でした」

 絵本は「週刊文春」のエッセーの連載が終了した時に、出版社の方から勧められて書き始めました。デビュー作は自分の名前をテーマにした「しげちゃん」(金の星社)。絵は「週刊文春」で挿絵を描いてくださっていた絵本作家・長谷川義史さんです。今年の春から「しげちゃん」は光文書院の小学5年生の道徳本にも載ってます。

 発売は東日本大震災のあった2011年の5月でした。「多くを失った被災地の人々も親がくれた名前は永遠」と、東北のラジオ局や仮設住宅から「しげちゃん」の朗読会の話をいただきました。そこからさらに発展して長谷川さん、絵本に理解の深いピアニスト、サックス奏者と4人による「しげちゃん一座」をやるようになりました。笑いあり涙ありの絵本ライブショーです。構成担当はリーダーの私です。大人の方にも楽しんでいただいていて、7割くらいがそうですね。

 これでお金もうけしようという気はないし、宣伝も売り込みもしていないのに、全国から声をかけていただいて、もう13年になります。コロナ前までは年間30ステージほどやっていました。

 こんな楽しいことを一生懸命やっているのも元気でいられる要因かもしれません。ショーのためにも絵本をもっと書きたいなと思い、それから年1冊書き続けています。

 去年は富山の「高志の国文学館」2代目館長に就任しまして、今、月に10日ほど富山へ行きイベントや企画会議などをしています。

 去年のG7富山・金沢教育大臣会合の際には百人一首を実演し好評をいただきました。今年も富山にゆかりのある作家をお招きしたり、井上ひさし展、南桂子展、池波正太郎展を開催します。その際には私と県ゆかりの俳優で朗読もやる予定です。

 企画を考えるのはとても好きなので楽しいし、やり甲斐があります。早稲田大学在学中、みんなであーだ、こーだと言いながら映画を撮って「自主映画の女王」といわれた当時から、私って変わらないみたいです(笑)。(聞き手=中野裕子)

■新刊! 絵本「タケシのせかい

 タケシがパパの秘密箱から見つけたパパからの手紙に答えるうちにウェルビーイング(身体的・精神的・社会的に良好な状態)とはどんな状態かについて考えるきっかけとなる絵本。(文・室井滋、絵・長谷川義史、アリス館刊)

▽室井滋(むろい・しげる)富山県出身。早稲田大学在学中から自主映画で活躍し、1981年、村上春樹原作の「風の歌を聴け」で劇場映画デビュー。88年には「やっぱり猫が好き」(フジテレビ系)に出演。映画「居酒屋ゆうれい」「のど自慢」などで多くの映画賞を、2012年日本喜劇人大賞特別賞、15年松尾芸能賞テレビ部門優秀賞を受賞。ラジオ、朗読、ナレーションなどにも数多く出演。また、エッセーや絵本など電子書籍化含め著書多数。全国各地でしげちゃん一座絵本ライブを開催中。23年4月から富山県立「高志の国文学館」館長に就任。今夏、テレビ朝日系「南くんが恋人!?」(毎週火曜21時)に出演。

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