ポカスカジャン大久保ノブオさん「久本雅美が出るなら」と当日券で…脳天ブチ抜かれワハハ本舗入り

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座長は単なる中間管理職

 クレージーキャッツが好きなのでそう提案してきたんですが、僕としては一度はバンドを捨てたから「またバンド?」と思った。でも、入るにはそれしかなくポカスカジャンを3人で組み、96年2月にデビューしたんです。

 今思えばコミックバンドを組んだからこそフジロックにも出られ、大好きな忌野清志郎さんにも会うことができた。あのままバンドをやっていたら、売れないで30歳くらいで諦めて田舎に帰っていたでしょう。

 次に僕にとって大きかったのは2010年8月。座長になった日です。喰さんが佐藤正宏さんの次の座長は若返らせたいから、座長選挙をやると提案しました。

 久本さん、柴田さん、梅垣さん、佐藤さん以外の37人ほどの劇団員がみんな候補になり、全国公演中に各会場でお客さんに投票してもらうという企画です。

 マニフェストを折り込みのチラシに載せたりしてアピール。顎が特徴的な僕のマニフェストは「座長になったら久本雅美柴田理恵をアゴで使う」。でも、僕はのんきにポカスカジャンをやっていたかったので「座長になってやる」とは思ってなかった。

 ところが、公演の1日目で僕が1位になってしまった。その後も何度か1位になり、もう僕が当選だとだいたい察しがつくわけですよ。

 最終公演の静岡での本番前は「本当に座長になったらどうしよう」と不安で不安で。僕と一番お酒を付き合ってくださる柴田さんが、ある酒席で「座長になるんなら自信持っていいのよ! 堂々としてみんなを引っ張っていきなさい。何かあれば守ってあげるから」と言ってくれて、心強かったので、選ばれたら頑張ろうと考え直したんです。

 でも、最後の公演の発表で、座長に選ばれ拍手され、「頑張ります!」と挨拶し、幕が閉まったら、柴田さんがツカツカと近づいてきて「確かに今日あんたは座長になったけど、それは座長というニックネームが付いただけなの。俺がワハハを引っ張るとか、そういうことじゃないんだからね」と。「えっ? どっちなんだよ!」と(笑)。

 実際に座長になったら単なる中間管理職でしかありませんでした。だって、あの先輩たちが僕の言うこと聞くわけないじゃないですか。伝書バトみたいにいろんな意見をつなぎ合わせるような役割となりました。

 例えば、喰さんは久本雅美さんや柴田理恵さんを育てましたが、時を経て、お2人とも知名度の高いスターになり、言い合わなくなるんです。だから、喰さんがツアー中に僕を呼び、「久本のアドリブが長すぎる。短くしてと言って」と。僕はというと「えー! 言えませんよ!」と拒否。すると「おまえが座長だろ」と言われ、渋々、久本さんの楽屋へ。

「すみません。久本さんの場が長いんで、ちょっとでいいので短くしていただけませんか」

 久本さんも僕が喰さんに言われて来てるとわかってますから了解してくれます。

 ただ、それじゃすまなくて、「じゃあさ、若手の女の子のお笑いの時間あまりにも面白くないから、どうにかしたほうがいいと喰さんに伝えといて」と。

 本当に名ばかり座長です。でも、ワハハ本舗の座長という肩書のおかげで箔がついたので、ありがたいのですが。

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