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鎮目博道テレビプロデューサー、コラムニスト、顔ハメ旅人

テレビプロデューサー、コラムニスト、顔ハメ旅人。テレビ朝日で社会部記者を経て、報道・情報系を中心に番組ディレクター、プロデューサーを務め、ABEMAの立ち上げに参画。2019年8月に独立。近著に『アクセス、登録が劇的に増える!「動画制作」プロの仕掛け52』(日本実業出版社)『腐ったテレビに誰がした? 「中の人」による検証と考察』(光文社)

元タレント中居正広さんも各局でメインMC…番組はまだ「司会者で視聴率が取れる時代」ですか?

公開日: 更新日:

 はじめまして! 鎮目博道と申します。テレ朝とABEMAのOBで、現在はフリーのテレビプロデューサーです。放送局って他人のことはほじくり返すのに、自分の都合の悪いことは情報開示しませんよね。だから局に代わって勝手に放送業界の内情を情報開示しちゃおう! ってことでこの連載をはじめました。みなさんからいただいた素朴な疑問に、私の可能な限り、私の勝手な見解で答えますので、どうぞよろしくお願いします。

 さて、記念すべき第1回目の疑問は、編集部からこんな質問が寄せられました。

Q:元タレント中居正広さんも各局でメインMCをしてましたが、まだ司会者で視聴率が取れる時代ですか? 各局で同じタレントが重用されるのはなぜ? 若手の人気イケメンアイドルならまだしも……

 むむむむむ…初回からかなり難しい質問がきましたね。

 まず、「司会者で視聴率が取れる時代か」と言われると、きっともはやそんな時代ではないでしょうね。かつては「J(例の事務所です)のタレントが出てれば、高視聴率間違いなし」でした。でももうそんな感じでもなくなってます。

 じゃあなんで同じタレントなの?と言われると、いくつか理由は考えられるのですが、こんな感じでしょう。

①他局でそのタレントの「視聴率がいい」番組があるから、乗っかれば安全。

②他局でそのタレントのMCっぷりが良かったから、乗っかれば安心。

③他局に人気者が独占されるのはヤバいから、うちにも出しとけば安泰。

 みなさんもお気づきでしょうが、放送局は横並びで「他はどうしてるのか」を気にして動くのが習性になっている動物です。だから「この人はいける」となると一斉に起用して、「もうダメかな」と思うと一斉に出演させなくなります。これには理由があります。

 じつは「なぜその番組の視聴率が良かったのか」の理由なんて本当は誰にも分かりません。MCのおかげなのか、それとも企画が良かったのか、時間帯に合っていたのか、たまたまか。それがテレビ業界の難しいところです。視聴率がもし悪かったときに「責任逃れ」するためにも、キャスティングの「根拠」を一応分かりやすく説明できないと困る。いちばん分かりやすい根拠は「他局もやってるから」なのです。

■タレントの「ランク付け」の仕組みとは?

 あと、もうひとつ付け加えるとすれば、「ランク」の問題が挙げられるでしょうか。

 実はタレントさんには「ランク」付けがされています。各局ごとにタレントのランクを管理する部署があって、「このタレントのランクはこのクラス。ギャラの相場はいくら」とナイショで決められています。番組プロデューサーは、タレントのギャラを勝手に決めてはいけなくて、その部署に問い合わせてだいたいの相場を聞いてから、事務所と交渉するのです。

 この「ランク」をみんな気にします。「このくらいのランクをメインMCに置こう」みたいなことを各局ともキャスティングを決める会議では気にしますし、タレント事務所側も、「このタレントはそろそろメインのランクだから」的なことを気にします。また、ゲストの出演者も、「メインのタレントとのランクの釣り合い」を気にして番組出演の可否を決めたりもします。

 だから自然に、「若手人気イケメン」でもないのに一部のタレントが各局で重用されるのです。以上、お分かりいただけたでしょうか。

 さあみなさんもよろしければ、テレビへの素朴な疑問をお寄せくださいね。可能な限り独断と偏見で情報開示しますよ。

  ◇  ◇  ◇

 フジが批判を受けたタレントたちとの付き合い方は?関連記事【もっと読む】フジテレビにはびこる“不適切すぎる昭和体質”…他局の元TVマンも「お台場だけ時が止まっている」と厳しい指摘…に詳しい。

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