顔ペロペロも危険 胃がん招く細菌は“愛するペット”が感染源
■放置すれば命に関わる危険も
日本人を対象とした調査では、ピロリ菌陰性で慢性胃炎を起こしている人の60%、MALTリンパ腫の人の60%、胃潰瘍の人の33%がハイルマニに感染していた。中でも多かったのは、同じケースで鳥肌胃炎を起こしている人で、実に71%がハイルマニに感染していたという。
「鳥肌胃炎は女性や若年者に多く見られる特徴的な胃炎で、スキルス性などの悪性度が高い未分化型がんのリスク因子とされています。胃の表面にブツブツとした顆粒状の盛り上がりが広がり、毛をむしりとった後の鳥の肌にそっくりなことから名付けられました。ピロリ菌やハイルマニに感染した細菌を退治しようと過剰反応した大量のリンパ球が胃の粘膜に集まり、顆粒状の隆起をつくります。過剰に集まったリンパ球は自分の胃の粘膜まで傷つけてしまい、激しい炎症を起こします。そのため、胃がんになりやすくなるのです」
ピロリ菌が陰性でも鳥肌胃炎になっていたら、早い段階でハイルマニの検査と除菌をした方がいい。ハイルマニはまだ培養することができず、血液や尿や呼気から感染の有無を調べることができない。内視鏡で胃の組織を採取して顕微鏡で見たり、遺伝子検査を行う必要がある。ピロリ菌検査に比べて手間がかかるが、放置すれば命に関わる場合もあるから、面倒くさがってはいけない。