著者のコラム一覧
中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

検査編<1>検便は夏より冬に 高温で“異常あり”が“なし”に

公開日: 更新日:

 では、便潜血検査の結果が「陰性」なら、問題なしといえるかというと、必ずしもそうとは限りません。実は、採取した便の保存状態によって、本来は「陽性」の検体が「陰性」と診断される恐れがあるのです。

 検査キットに書かれた説明書をよく見ると、採取した便は「冷蔵庫に保存してください」と書かれているはず。それに抵抗を感じる人がいるかもしれませんが、それで室内などに放置すると、正しく検査できないリスクが高まります。血液は高温になると、便に含まれる細菌に分解されてしまうのです。その結果、「陰性」に……。

 東京は、梅雨明け前ですが、気温は連日30度を超えています。この気温もネックです。自宅を出て病院に検査キットを提出するまでに長い時間がかかると、それだけキットの温度が上昇し、血液が分解されやすくなります。温度の上昇を防ぐには保冷剤と一緒に袋に入れて持ち運ぶといいでしょう。大腸がん検診を受けるなら、夏より冬がベターです。

 読者のみなさん、検便はいつ、どのような状態で提出していますか。もし“高温リスク”にさらされているなら、本当の意味での「陰性」ではないかもしれません。正しく検査ができていない以上、「見落とし」ともいえません。そんな厄介な目に遭わないためには、とにかく正しく検査を受けることです。

 便潜血検査のがん発見率は1回当たり45%ほどと高くありませんが、2回で70%に上昇。2年目で91%、さらに3年目には97%にアップするのですから。

【連載】Dr.中川のみんなで越えるがんの壁

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    1年ぶりNHKレギュラー復活「ブラタモリ」が好調も…心配な観光番組化、案内役とのやり取りにも無理が

  2. 2

    大リストラの日産自動車に社外取締役8人が「居座り」の仰天…責任問う大合唱が止まらない

  3. 3

    眞子さん極秘出産で小室圭さんついにパパに…秋篠宮ご夫妻に初孫誕生で注目される「第一子の性別」

  4. 4

    広島新井監督がブチギレた阪神藤川監督の“無思慮”…視線合わせて握手も遺恨は消えず

  5. 5

    故・川田亜子さんトラブル判明した「謎の最期」から16年…TBS安住紳一郎アナが“あの曲”を再び

  1. 6

    三山凌輝活動休止への遅すぎた対応…SKY-HIがJYパークになれない理由

  2. 7

    所属先が突然の活動休止…体操金メダリストの兄と28年ロス五輪目指す弟が苦難を激白

  3. 8

    大阪万博は値下げ連発で赤字まっしぐら…今度は「駐車場料金」を割引、“後手後手対応”の根本原因とは

  4. 9

    芳根京子“1人勝ち”ムード…昭和新婚ラブコメ『めおと日和』大絶賛の裏に芸能界スキャンダル続きへのウンザリ感

  5. 10

    国民民主党・玉木代表は今もって家庭も職場も大炎上中…「離婚の危機」と文春砲