5年目で悪性リンパ腫再発を繰り返しても20年で完治させた患者がいる
抗がん剤は3~4週に1回のペースで8回繰り返しましたが、3回目の投与終了時にはリンパ節の腫大は消えました。この頃、同時に奥さんは体外受精が成功し、10カ月後には、かわいい女児が誕生しました。
Rさんの治療も完遂し、5年後には完治と判断されました。外来で来院される時、Rさんはいつも娘さんの写真を見せてくれました。
■高齢でも治療は可能
会社員のIさん(36歳・男性)は、顎の下、腋窩部にリンパ節腫大を認め、耳鼻科医院で生検されて「悪性リンパ腫びまん性大細胞B細胞型」との診断で来院されました。特に症状はなく、ステージⅡで早速、CHOP療法(3種類の抗がん剤に副腎皮質ホルモンを組み合わせた治療)が開始されました。
3回目でリンパ腫は消失し、8回で治療終了。5年経過し、最後のCT検査で良好ならば完治というところでした。しかし、頚部に再発が見つかり、また治療をやり直すことになりました。
薬剤を変更し、3回の治療で再びリンパ腫は消失。続けてさらなる地固め治療を行い、また5年が経過しました。「今度は大丈夫」と思っていたのですが、なんと同じく5年目で2回目の再発が認められたのです。それでも、Iさんは治療を続けてこれを乗り越え完治されました。リンパ腫が消えてから5年経過して再発がなければ治癒と考えます。Iさんのように5年目で再発を繰り返す方はほとんどいません。Iさんが担当医から「完治」の言葉を聞いたのは最初の治療から20年目です。本人もご家族もよく頑張ったと思います。