フィンランドがワースト 認知症はなぜ寒い国に多いのか
高齢化に伴って、認知症が深刻な社会問題となっているのは、先進国共通の現象です。しかし、実は認知症には大きな地域差があります。
2016年のWHOの統計によると、世界で最も認知症で死ぬ人の比率が多いのはフィンランドで、1年間に人口10万人当たり53人以上が認知症で死亡しています。次に多いのがアメリカで45人以上。3番目がカナダで35人以上です。日本は多いというイメージを持たれる方が多いかも知れませんが、実際には58位でフィンランドの12分の1以下なのです。
認知症で亡くなる人の多い国を見ると、フィンランド、アイスランド、スウェーデンと、ヨーロッパの寒い国が並んでいます。認知症はなぜ寒い国に多いのでしょうか? その理由は不明ですが、いくつかの可能性が考えられています。寒い地域で湿気が多いとカビが室内で発生しやすく、カビの感染が神経細胞への毒性を持って、認知症に結び付くのではないか、という説があります。
また、北欧の湖や海に繁殖している藻の一種が、神経への毒性を持っていて、魚を食べる時にその成分が吸収されてしまうのでは、という説もあります。さらには土に含まれるセレンという金属の不足が、影響しているのではないか、という説もあるようです。
いずれもまだ仮説なのですが、寒い国に認知症が多いという現象は興味深く、今後認知症と環境との関係が、明らかになる日が来るかも知れません。