毛の着色メカニズムが判明 白髪染めが将来不要になる?
髪の悩みといえば、「脱毛」と「白髪」ですが、その原因はまだ不明の点も多いのが現状です。特に白髪についてはヘアカラーなどでも対応が出来るので、あまり研究もされてきませんでした。
日本人の髪の毛が黒いのは、色素細胞という細胞があって、メラニンという色素が髪に色を付けているからです。色素細胞は毛の根元の毛包や皮膚にある細胞ですが、アメーバのように移動するという不思議な性質があります。髪の毛が成長する時に、その色素細胞が増殖すれば毛は黒くなるのですが、その調節の仕組みはこれまで不明でした。
昨年の遺伝子研究の専門誌に、毛の着色についての画期的な論文が掲載されました。毛の色素細胞を増殖させるには、KROX20という遺伝子が毛包の上皮細胞で働くことが必要で、それがSCFという別の成長因子を活性化させて黒い毛を作っているのです。KROX20を働かなくすると、毛は作られなくなり、SCFを働かない状態にすると白い毛になることが、動物実験で確認されました。
使われているのはネズミの体毛ですが、人間の髪の毛でも同じことが起こっている可能性が高いのです。髪の毛は一定の周期で成長したり休んだりを繰り返しているので、そこに遺伝子の調節を行うことにより、白髪を黒い毛にすることも、可能となる理屈です。
将来白髪染めを使わなくても、黒い髪が復活することが出来るようになるかも知れません。