卵を食べてもコレステロール値は上がらない?
これまで血液検査をしてコレステロールが高い患者さんには「1日1個、卵を食べてはいけません」という指導が行われていました。
1個の卵には200ミリグラムを超えるコレステロールが含まれています。1日のコレステロールは300ミリグラムより少なくすることが推奨されているので1日に1個以上の卵を食べてしまうと、現実的にその基準を満たすことは難しいのです。
ところが、最近になって「コレステロールが高い人も卵を減らす必要はない」という内容の報道が巷を賑わすようになりました。
2016年のアメリカのガイドラインで、「コレステロールの摂取量の目標値が当てにならない」として否定されたからです。もちろん、これは「コレステロールをいくら取ってもいい」という意味ではありませんが、たとえば卵を減らしたからといって、コレステロールは減らないことが分かったのです。
17年の疫学の専門誌に、今度は日本の大規模疫学データの解析結果が発表されたのですが、そこでもやはり、コレステロールの数値と卵の量との間には、明確な関係はありませんでした。
そうはいっても、「卵の食べ過ぎは大腸などのがんを増やす」という報告もありますから、食べ過ぎもまた良くありません。
ただ、1日1個くらいの卵を食べることは、特に健康に害はないと考えてもいいようです。