インフルエンザワクチンを打つと免疫が低下する?
インフルエンザが本格的に流行する季節となりました。皆さんはもうワクチンを打ちましたか? ワクチンは科学的にその効果が確認されている、インフルエンザの予防法です。ただ、今使用されているワクチンはスプリットワクチンといって、実際にインフルエンザにかかった時に体がつくる免疫と比べると、その効き目は弱いものなので、毎年打たないと効果が持続しません。
2009年の「新型インフルエンザ」騒動の時に、「毎年ワクチンを打っていると、新型インフルエンザにかかりやすくなるのではないか」という意見が、まことしやかに広がったことがありました。これは必ずしも事実無根ではなくて、動物の実験や免疫不全のお子さんでは、インフルエンザワクチンを繰り返し接種すると、細胞性免疫という体の免疫の一部が、弱まることが報告されているのです。これは免疫不全のお子さん以外にも、成り立つことなのでしょうか? 昨年の感染症の専門誌に、この疑問に答える論文が掲載されました。
それによると2009年の「新型インフルエンザ」に対するワクチンを免疫に異常のない人に繰り返し接種すると、細胞性免疫も活性化することが確認されています。その仕組みはまだ不明ですが、インフルエンザワクチンを打つと新型インフルエンザにかかりやすい、というのは間違った考え方であるようです。