高齢者のふらつきや気分の悪さは「急性腎障害」を疑う
急性腎障害から慢性腎臓病へ移行するリスクを少しでも下げるには、早期対策が重要なポイントになる。
まず、手術がきっかけで起こる急性腎障害には、早期発見バイオマーカーとして開発された尿中NGAL(好中球ゼラチナーゼ結合性リポカリン)やL―FABP(L型脂肪酸結合蛋白)に注目が集まっている。
「血中クレアチニン値は、腎機能が低下してから48時間後くらいに数値が上昇するので、発見のタイミングとしては遅い。一方、尿中NGALは6時間後には数値が上昇します」
術後には腎臓に負担のかかる薬の投与が必要になるケースが珍しくない。しかし早く急性腎障害がわかれば、負担が少ない薬を検討できる。
次に、脱水症状がきっかけになる急性腎障害に対しては、自覚症状があればすぐに病院へ行くしか手がない。糖尿病、高血圧、慢性腎臓病など急性腎障害のリスク要因を抱える高齢者は、「ふらつく」「気分が悪い」「尿量が少ない」など、いつもと違う体調の悪さを見逃さないようにしなければならない。