免疫力アップと注目だが 「ファイトケミカル」の落とし穴
喫煙による肺がん発症率は、第1相解毒に関与するCYP1A1の遺伝子と第2相解毒に関与するGSTM1遺伝子の多型により20倍も違う。お酒に酔う時間もお酒に強い人とそうでない人とでは、アセトアルデヒド脱水素酵素遺伝子の多型の違いで、256倍もの差が出るといわれている。
「不整脈や脳梗塞などを防ぐために処方される血液をサラサラにする薬にワーファリンがあります。この薬を1ミリグラム以上使ったら脳出血が増えて危ない人と16ミリグラム使わないと血液凝固を防げない人がいます。つまり処方量に16倍の差があるのです。だから、医師はワーファリンを使うときは事前に血液の凝固テストをして慎重に処方量を決めます。これはワーファリンに限ったことではありません」
よく「外国で承認された効果のある薬をなぜ、日本で承認しないのか?」と疑問を持つ人がいるが、それは、薬の吸収・代謝に人種差があるため。それによって薬が体内に長くとどまると体に毒となるケースが少なくないからだ。
「ファイトケミカルはこうした薬やお酒、たばこと同じゼノバイオティクスなのです。だからこそ、テレビや雑誌などで有名人が『良い』とすすめたり、『私はこれで健康を取り戻した』などという個人の体験談は割り引いて聞く必要があります。あくまでも一般論に過ぎず、誰にでもあてはまるわけではないのです」
ファイトケミカルは植物由来だからといって必ず安全というわけではない。一部の人には有効でも同じファイトケミカルによる健康被害は多数報告されている。そのことを肝に銘じておくべきだ。