著者のコラム一覧
中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

40代女性が肺がんで死亡 検診の見落としを防ぐには?

公開日: 更新日:

 相次ぐがんの見落とし報道に不安を感じている人は、少なくないでしょう。

 今回発覚したのは東京・杉並区の河北健診クリニックで、40代の女性が胸部X線検査を受けたところ、肺がんを見落とされて、今年6月に死亡したといいます。

 一連の報道などによると、女性は2005~18年にクリニックの健診を計10回受けたそうで、そのうち14年と15年に企業健診として受けた分と、今年1月に区で実施した肺がん検診で、画像に腫瘤の影が映っていながら「異常なし」と診断されていました。

 この連載でも取り上げましたが、東京慈恵医大や千葉大などで相次いだがんの見落としは、CTなどの画像をチェックした放射線科医が、がんの可能性を指摘していながら、その報告書を受け取った主治医が報告書を十分確認せず、がんの診断情報が共有されないことによる見落としでした。今回の見落としは、これらの見落としとは、決定的に違います。

 河北健診クリニックでは、内科医と放射線科医が胸部X線検査の結果をダブルチェック。14年の企業健診では内科医が「要精密検査」と診断した一方、放射線科医は乳頭が写っていると「異常なし」に。判断が分かれたのに、より専門性が高いという理由で、放射線科医の意見が優先されたことに問題があります。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  2. 2

    “氷河期世代”安住紳一郎アナはなぜ炎上を阻止できず? Nキャス「氷河期特集」識者の笑顔に非難の声も

  3. 3

    不謹慎だが…4番の金本知憲さんの本塁打を素直に喜べなかった。気持ちが切れてしまうのだ

  4. 4

    バント失敗で即二軍落ちしたとき岡田二軍監督に救われた。全て「本音」なところが尊敬できた

  5. 5

    大阪万博の「跡地利用」基本計画は“横文字てんこ盛り”で意味不明…それより赤字対策が先ちゃうか?

  1. 6

    大谷翔平が看破した佐々木朗希の課題…「思うように投げられないかもしれない」

  2. 7

    大谷「二刀流」あと1年での“強制終了”に現実味…圧巻パフォーマンスの代償、2年連続5度目の手術

  3. 8

    国民民主党は“用済み”寸前…石破首相が高校授業料無償化めぐる維新の要求に「満額回答」で大ピンチ

  4. 9

    野村監督に「不平不満を持っているようにしか見えない」と問い詰められて…

  5. 10

    「今岡、お前か?」 マル秘の “ノムラの考え” が流出すると犯人だと疑われたが…