40代女性が肺がんで死亡 検診の見落としを防ぐには?
私も会見で提示されたX線画像を見ましたが、肋骨2本が重なる場所でやや分かりにくい位置の腫瘤ではありますが、異常ありと判断すべきケースと思われます。
大規模な病院なら10万件近い画像検査が行われるので、意見が割れるケースは決して珍しくありません。そういう時は、どちらかを優先するのではなく、リスクを考慮して念のため精密検査に回すべきでしょう。
15年の企業健診では、別の内科医と同じ放射線科医が画像診断を担当しましたが、前年と変化がないということから「異常なし」。今年1月の区の肺がん検診では、いずれも別の内科医2人が担当し、腫瘤影が薄くなったような所見があり、「異常なし」と診断されたそうです。最初の診断が疑われることなく、引き継がれたように見えなくもありません。
その後の調査で、14年9月以降にこのクリニックで検査を受けた9424人の画像を見直し、44人が「要精密検査」になっています。あってはならないことですが、検診結果が見落とされる可能性は残念ながらゼロではありません。
車でたとえると、検診はシートベルトの役目です。シートベルトをしていても、事故で死亡するリスクをゼロにはできませんが、リスクを大きく減らすためには役立ちます。では、そのリスク低減効果をしっかり得るには、どうするか。