注射は必要なし 経鼻インフルエンザ生ワクチンの基礎知識

公開日: 更新日:

インフルエンザウイルスは気道の粘膜に感染して増殖、全身に広がる病気です。通常のインフルエンザワクチンは不活化ワクチンと呼ばれるもので、バラバラにしたインフルエンザウイルスの断片を血液中に注射することで、血液中のインフルエンザに対するIgG抗体(免疫物質)をつくります。それでインフルエンザが全身に広がるのを防ぎます。しかし、IgG抗体は気道粘膜には存在しないため、気道への感染そのものを防ぐことはできません。つまり、感染を防ぐというより、重症化を抑えるワクチンなのです。ところが、生ワクチンのフルミストは、弱毒化されているとはいえ生きた病原微生物なので、鼻の粘膜で弱毒化されたウイルスが繁殖します。結果、気道粘膜上にインフルエンザワクチンに対するIgA抗体が、血液中にはIgG抗体がつくられます。つまり、感染そのものを抑えることができるのです」

 通常のインフルエンザワクチンとフルミストの違いはそれだけじゃない。ウイルスが気道粘膜で増殖することにより、細胞性免疫も刺激される。

「細胞性免疫とは特定の病原体を攻撃する免疫細胞を作って攻撃する仕組みのことです。具体的には生ワクチンにより体内で特定の免疫細胞が増え、生ワクチンがターゲットにしている4種類のインフルエンザウイルスを攻撃するのです。不活化ワクチンは血液中に抗体を作るだけで、そうした機能はありません」

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    日本は強い国か…「障害者年金」を半分に減額とは

  2. 2

    SBI新生銀が「貯金量107兆円」のJAグループマネーにリーチ…農林中金と資本提携し再上場へ

  3. 3

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾

  4. 4

    「おこめ券」でJAはボロ儲け? 国民から「いらない!」とブーイングでも鈴木農相が執着するワケ

  5. 5

    NHK朝ドラ「ばけばけ」が途中から人気上昇のナゾ 暗く重く地味なストーリーなのに…

  1. 6

    侍Jで加速する「チーム大谷」…国内組で浮上する“後方支援”要員の投打ベテラン

  2. 7

    石破前首相も参戦で「おこめ券」批判拡大…届くのは春以降、米価下落ならありがたみゼロ

  3. 8

    阿部巨人に大激震! 24歳の次世代正捕手候補がトレード直訴の波紋「若い時間がムダになっちゃう」と吐露

  4. 9

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

  5. 10

    高市政権の物価高対策「自治体が自由に使える=丸投げ」に大ブーイング…ネットでも「おこめ券はいらない!」