原因は歯以外にあり「非歯原性歯痛」の治療で痛みが消える
歯が痛い。でも、検査をしても歯の異常が見つからない。こんな時、どういう原因が考えられるのか?
「原因不明の歯痛で悩む患者さんは実は多くいらっしゃいます」
こう話すのは、日本大学松戸歯学部付属病院口・顔・頭の痛み外来責任者の小見山道教授だ。同外来は開設して12年。原因不明の歯痛で悩み、どの歯科医院でも治療に結びつかなかった患者が多く来院する。
虫歯など原因がはっきりしている歯痛は、その治療で痛みが治まる。一方、歯に原因がない非歯原性歯痛もある。
「痛みの部位と原因部位とが一致しない。たとえば狭心症などでは、心臓部の痛みを左上腕部の痛みと認知することがあります」
55歳の女性は、1カ月前から左下の歯が痛く、抜いて欲しいと開業医を受診。しかし「どうも様子がおかしい」と、開業医は小見山教授の外来に紹介状を書いた。
この女性は痛い歯の周辺に炎症性の所見がなく前後の歯、上顎の歯にも問題がなかった。歯に問題があれば麻酔で痛みが消えるが、痛む歯及び周辺の歯に局所麻酔をしても痛みが消えなかった。