原因は歯以外にあり「非歯原性歯痛」の治療で痛みが消える
「ところが、噛む筋肉を触ると痛みが出ました。この患者さんの歯痛は、咬筋や側頭筋といった噛む筋肉に炎症が生じていたことが原因でした」
これを筋・筋膜性歯痛と言い、非歯原性歯痛の原疾患として多くを占める。原因不明の歯痛の78.8%に頭頚部の筋・筋膜痛が併発しており、頭頚部筋・筋膜痛の49.6~85%は関連痛で非歯原性歯痛を引き起こすとも報告されている。
「この患者さんの治療のターゲットは歯ではなく筋肉。マッサージや温め、くいしばらない、などで、2週間後には疼痛が寛解しました」
■三叉神経痛で歯に電気が走るような痛みが起こる
65歳の男性は、半年ほど前から、洗顔時に顔面、左上の歯の辺りに、電気が走るような痛み(電撃痛)が起こるようになった。自宅近くの歯科医院で症状は改善せず、むしろ痛みを認める頻度や持続時間が増加した。
小見山教授が診ると、前出の女性と同様に周囲の歯に異常所見はなし。唇への刺激で痛みが生じたため、神経の根元へ麻酔を打つと痛みの発作が消えた。診断名は、三叉神経痛。三叉神経痛の薬で、3日目には痛みが激減した。