ミラクルひかるは腹膜炎 虫垂炎が生死を分ける中年の事情
「何となく痛みを感じるようになったのはヘソの上か右側でした。そこは胃に近い。もともと、胃が弱くて、胃痛に悩まされていて、痛みの原因は胃炎のせいだと踏んでいました。2、3日様子を見ると、軽くなっていたのもあって。しばらくするとまた痛むのですが、やっぱり軽い。そんなことを繰り返すうちに、右下腹部が痛み始めた。でも、仕事もあって、鎮痛剤を飲むとよくなるんです。その数日後でした。あまりの痛みにベッドで膝を抱えて丸くなったまま動けなくなったのは……」
■治療で切除すると大腸がんリスクは2倍に
虫垂炎が悪化して、腹膜炎を起こし、腹壁に穴があき、その穴から膿が腹部に漏れ出す。ミラクルと同じ症状で、2人とも腹部の洗浄でピンチを脱しているが、“膿浸し”が長引けば、命を落とす。「たかが盲腸」とバカにできないゆえんである。
「痛みがヘソのあたりにあるときは、程度も軽く放置されやすい。それが右下腹部に移ったら、かなりひどいはずで、吐き気や発熱もあるでしょう。右下腹部の痛みと吐き気、発熱は虫垂炎の3大症状。激しく痛む場所は震源地そのものですが、鎮痛薬で治まる経験があると、それが刷り込みになって、激しい痛みでさえ放置されることが少なくないのです。仕事や家庭の事情で休めなかったりすると、なおさらでしょう」