クレアチニン・クリアランスは腎機能低下早期発見の決め手
そこで大切なのが、血中のクレアチニンと尿中のクレアチニンを比較するクレアチニン・クリアランスです。腎臓の糸球体は、体に必要なものを取り込んで、不要なものを尿に排出するろ過装置で、この検査は糸球体のろ過機能がどれくらいあるかを調べます。
基準値は、男性が1分あたり90~120ミリリットルで、数値が下がるほど腎機能が低下していると判断。50~70が軽度、30~50が中等度、30以下は尿毒症が疑われる重症です。採尿と採血の両方を組み合わせるため、初期の異常をチェックできますが、検査方法は簡便な短時間法でも1~2時間。きちんと調べるには、それなりの時間が必要です。
糸球体の異常を起こす典型的な病気が糸球体腎炎で、そのベースには高血圧が関係しています。腎臓の異常ではなく、うっ血性心不全や心筋梗塞によっても、クレアチニン・クリアランスの数値が低下することがありますが、その背景にも高血圧が関係しています。
つまり、腎機能の低下と高血圧は不可分の関係。高血圧の治療をしっかり受けることが、腎臓を守る近道です。
梅田悦生・赤坂山王クリニック院長