採血で異常値も 肝細胞の破壊度がわかる「AST」と「ALT」
肝機能検査でおなじみの「γ―GTP」は、アルコール性肝障害の診断に欠かせません。ざっくり言うと飲酒度合いの目安です。
では、飲酒を繰り返したことによる肝臓への影響はどのように表れると思いますか。肝臓そのものへの影響をチェックする指標が、今回お話しする「AST(GOT)」と「ALT(GPT)」です。
基準値は、ASTが5~40IU/Lで、ALTが3~35IU/L。簡単に言うと、これらの数値の上昇は、肝細胞の破壊度合いを示します。
ASTもALTも肝細胞の中で働く酵素で、タンパク質を分解して、体が必要とするアミノ酸を取り出しています。脂っこいものの食べ過ぎやお酒の飲み過ぎなどで脂肪肝や肝炎などになると、炎症によって肝細胞がじわじわと破壊され、それにともなって酵素も血液中に放出されます。それが数値の上昇となって表れるのです。
ASTは心筋や筋肉、赤血球などにも含まれる一方、ALTはほかの臓器にほとんど含まれません。そのため、肝臓の破壊をより鋭敏に反映するのは、ALTです。ですから、ASTが高く、ALTが正常に近いときは、たとえば心筋梗塞やうっ血性心不全など心臓の異常が疑われます。