脳は老化しない 70歳でも成長するために大事なこととは?
世界が認める天才・葛飾北斎は73歳で「富嶽三十六景」を完成させた。その年に「ようやく絵の基本がわかるようになった」と語り、88歳まで筆を執った。人生後半に輝くには脳をどう鍛えればいいのか?
101歳で札幌市在住の加藤栄さんが先日、放送大学(心理と教育コース)を卒業した。
これが実に4度目の卒業となり、99歳で卒業した前回は「生活と福祉」で認知症や在宅介護を学び、97歳の前々回は「人間と文化」、95歳では「社会と産業」とさまざまな学問にチャレンジしてきた。北海道大学構内にある放送大学までは片道1時間かけて通ったというから頭が下がる。
加藤さんは苦手な英語を克服しつつ、「自分から学びにいくからこそ楽しい」と言う。
加藤さんのように年を取っても脳のパフォーマンスを上向かせることは可能だ。
知能には、「結晶性知能」と「流動性知能」の2つがある。結晶性知能とは言語性の知能のことで、料理の手順など過去に得た経験が土台になるため、加齢による低下が少ない。もうひとつの流動性知能は、新しいことに適応する能力で、若い人ほどいい。
ただし、知能は分野によってその最適な年齢が違ってくる。マサチューセッツ工科大学(MIT)のハーツホーン氏(認知科学)によると、「総合的な情報処理能力と記憶力」は《18歳前後》でピークを迎える(別表)。大学入試など詰め込み学習が得意な年齢だ。