脳は老化しない 70歳でも成長するために大事なこととは?
《22歳》でピークになるのは「名前を記憶する能力」。中高年になると、急にアイドルや俳優の名前が覚えられなくなるのも当然だろう。
《32歳前後》では「顔認識能力」がピーク。上司や部下に囲まれ、多くの人脈を形成する年頃だ。
《43歳前後》になると、今度は「集中力」がピークを迎える。普段はボーッとしていても、ここぞという時に能力をフル回転させるコツをつかんでくるのだろう。
《48歳》は「感情認知能力」が最高潮で、“忖度”もしやすい。
《50歳》になると、「基本的な計算能力」がピーク。計算が苦手という人には意外な結果だ。
さらに《67歳前後》で「語彙力」が最大。五輪担当相を事実上更迭された69歳の桜田義孝は例外だったに違いない。
つまり、脳の働きはある年齢で全てがピークを迎えるということはありえないのだ。
諏訪東京理科大学の篠原菊紀教授(脳科学)がこう解説する。
「MITの研究では、新しいことに取り組む際の集中力は18~25歳がピークですが、仕事や経験の多さに起因する集中力は40代くらいに最大化します。集中力や判断力は年とともに伸びるものもある。やりたいこと、見たいことをやっていると、ニューロン(神経細胞)を増やすBDNF(脳由来神経栄養因子)という物質が増えるのです。MRIを使って、73歳と75歳の脳の断面を調べた研究では、楽しいことをしている人の脳の萎縮は、していない人の半分でした」
そもそも、脳は老化しない。体の細胞は次から次へと生まれ変わるが、ニューロンは基本的に一生同じままだ。では、なぜ物忘れなどが起こるかというと、ニューロンとニューロンを結ぶシナプスの働きが弱るため。老齢の脳はシナプスから放出されるアセチルコリン(神経伝達物質)の量が少ないことがわかっており、要するにシナプスを鍛えるといいことになる。シナプスは外から多くの刺激が与えられることによって発達する。
4度も放送大学を卒業した加藤さんのように、まったく未知の分野に「自分から学びに行く」ことが大事なのだ。
脳を正しく鍛えれば、70歳からでも脳はさらに成長する。