点滴が生ビールに見えて…宮路オサムさん闘病生活を振り返る

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■病気になったことで歌のすごさを再認識

 それ以来、胃には十分注意していたのですが、30年前、殿さまキングス解散の危機に再び大きなストレスがかかり、「急性神経性胃潰瘍穿孔腹膜炎」になりました。胃に穴が開き、腹膜内に胃の内容物が漏れ出すという緊急事態です。大急ぎでお腹の中を大掃除する手術が行われ、胃の3分の1を切除しました。倒れたのはちょうど、女房の父親のお墓参りの最中でした。

 親戚が大勢いて、早急に対処してくれたので助かりましたが、もしも飛行機や新幹線に乗っていたら間に合わなかっただろうとのことでした。

 その後、殿さまキングスは解散となり、「これからどうやって女房を食わせていこう」と途方に暮れていた頃、別のレコード会社から声がかかり、再び歌い出しました。療養を含め約2年間のブランクがありました。すっかり痩せこけ、「熱唱のオサムちゃん」ではなくなっていましたが、「病み上がりのしおれた声がまた渋い」と評価されて、再びヒット曲に恵まれました。

 それで調子に乗っちゃったんですね。いつの間にか胃に穴が開いたことなど忘れてしまって、やめていたお酒が復活……食べずに飲むという悪い習慣で、毎晩ボトル1本を空けるようになってしまいました。ホテル泊のときはスタッフの部屋の冷蔵庫も空にするほどでした。

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