「皮膚=肌」手入れの基本は石鹸を泡立て手で軽くこする
「皮膚の外側の表皮は4層からなり、一番下の基底層で新しい細胞がつくられ、有棘層↓顆粒層↓角質層の順で皮膚表面に押し上げられ、一番外側の角質層がバリアー機能の役割を果たしています。さらに、手のひらや足の裏を除いた全身の皮膚には毛に付属する皮脂腺があり、皮脂を分泌しています。皮脂は汗と混ざり合って皮脂膜をつくり、皮膚表面を保護し、水分の蒸発を防いで皮膚や髪に潤いを与えているのです」
■ナイロンタオルでゴシゴシは厳禁
しかし、皮脂は多過ぎると汚れがたまってニキビや吹き出物の原因になり、少な過ぎると乾燥肌になる。皮脂の分泌量は年齢によって異なり、年を取るほど分泌が減る。高齢になるほど肌がカサカサして乾燥肌になりやすいのはそのためだ。また、皮脂膜は弱酸性なので皮膚に付着するウイルスや菌を死滅させる働きがある。しかも、その皮脂や汗をエサとする皮膚常在菌(表皮ブドウ球菌など)が安定して生息することで病原性を持つ常在菌の繁殖を防ぐという、何重ものバリアーが働いているのだ。
「肌に悪いのは入浴時にナイロンタオルなどでゴシゴシ洗うこと。サウナのアカスリや乾布摩擦などもよくありません。ゴシゴシこすり表皮の角質層を傷つけて減らすと、皮脂が減少して皮膚表面の状況が悪化し、皮膚常在菌のバランスが崩れる悪循環を起こします。体を洗う時は、足の指の間や股間、脇の下は念入りに洗うとしても、他の部分は石鹸やボディーシャンプーを泡立てて手で軽くなでる程度で、汗などの汚れは十分落ちるとされています」