糖尿病でがんのリスクが増大…進行を抑える治療薬も登場
糖尿病の治療薬には、がんを抑制する効果が期待されているものがあります。
そのひとつが、メトホルミン。世界中の研究機関の大規模臨床試験などで確認されており、メカニズムの解明も進んでいます。
さらに14年、世界的糖尿病雑誌「Diabetes」で、新しいタイプの糖尿病治療薬「GLP―1受容体作動薬」が前立腺がんの進行を抑えるのに役立つ可能性があると発表されました。
GLP―1受容体作動薬は、①インスリンを分泌させて血糖値を抑える②血糖値を上げるホルモンの分泌を抑制する③膵臓のβ細胞を増殖する④摂取した食べ物の胃からの排出を遅らせる⑤食欲を抑える⑥脳神経の保護をする――などさまざまな作用があります。
さらに、マウスを使った6週間の動物実験で、GLP―1受容体作動薬を使ったマウスの前立腺がんは、使わなかったマウスに比べて、がんの増大が抑制されるという結果が出たのです。
前立腺のがん細胞にGLP―1受容体が多いほどがん増殖抑制効果が高い。それは、GLP―1受容体作動薬が、がん細胞を増殖させる物質の働きを抑制すると考えられています。