「なぜ看護師になったのか?」コロナ病棟に勤務してから頭をよぎる思い
一日の勤務が終わり、重い感染防護服を脱いで寮の部屋に戻ると緊張から解き放たれますが、とにかく何もしたくなくてグッタリとしてしまいます。消化器内科病棟では感じたことのない、尋常ではない疲れ方です。ただ横になっていたい……そのまま寝てしまうこともあります。
去年の12月、病院からいただいたボーナスが少ないことに愕然としました。コロナのために病院全体の患者数が減って、赤字が増えているというのです。私はお金には執着心はない方だと思っています。それでも今回は「こんなに働いてがんばっているのに……」と思うと、余計にめいってきました。
コロナ病棟に勤務してから時々頭をよぎるのが、「私はなぜ、看護師になったのか?」ということです。「患者に寄り添う、心も寄り添う」そんな看護を目指していたはずでした。がん患者の終末期の時も、常に患者さんの心に寄り添った看護がしたいと考えてきました。
それがコロナ病棟では、なるべく患者さんから離れて看護をしなければなりません。診察や体位を変えるために患者さんのところまで出向いた時でも、「よろしいですね」と確認してすぐに離れ、患者さんのそばに長くは居られません。患者さんから手を差し出されても、握ることはできません。主にモニターを見て、酸素濃度、血圧、心電図、呼吸数などをチェックするだけの看護なのです。現実は分かっているつもりですが、「私がやりたいと思っている看護ではない」と考えてしまいます。