医師から十分な説明を受けられず不安を抱える患者は多い
肺がんが再発したKさん(68歳・女性)は、がん拠点病院の外来で7カ月間、薬物治療を受けてきました。
その日も病院に着くと採血検査が行われ、1時間以上も診察室の前で待ったあとA医師から呼ばれました。診察室に入ったKさんは、「Kです。いつもありがとうございます」とあいさつしました。するとA医師は、あいさつもそこそこに一気に話し始めました。
「お元気ですか? 特に症状は変わりませんね。CEA(腫瘍マーカー)の値が上がってきました。今の治療が効かなくなってきた証拠です。今度は抗がん剤を替えようと思います。『ゲムシタビン』です。よろしいですか? それとも緩和にしますか? 次回、2週間後までに考えてきてください。今日は、採血の結果はCEA以外は問題ありませんでしたので、前回の点滴をそのまま行います。次回は採血、CT検査、診察、そしてよろしければゲムシタビン点滴となります。はい。それでは点滴室の方でお待ちください」
アッという間に診察は終了しました。A医師はすぐさま次の患者を呼びます。Kさんの場合と同じように採血の結果を見て、抗がん剤点滴を行うかどうかの指示を出し、そして次の患者に移るのです。