「なぜ看護師になったのか?」コロナ病棟に勤務してから頭をよぎる思い
病院の看護師寮に住んでいるAさん(28歳・女性)がこんなお話をしてくれました。
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私は看護学校を卒業後、ある病院の消化器内科病棟に勤務しました。入院患者の中には胃がん、大腸がん、膵臓がんが進行し、亡くなる方がたくさんいらっしゃいました。当時、私は夢中になって患者さんのために一生懸命がんばりました。担当した患者さんが亡くなった時は、遺族の方から「よくやってくださいました。ありがとうございました」といった感謝の言葉をしばしばいただきましたが、私自身は、夜ベッドに入ると亡くなった方を思い出し、「もっとやれることがあったのではないか」と反省を繰り返していました。
去年の春からコロナ病棟ができて、そこに勤務するよう命じられました。私は嫌とも思いませんでした。コロナへの対応については、政府もマスコミも「医療者に感謝」と繰り返し、ブルーインパルスが空に舞ったこともあります。しかし、コロナ病棟では、同僚がひとり、またひとり……と辞めていきました。
先月は、同じ病棟で一度に3人の看護師が職場を去っています。ひとりは出産で、ひとりはコロナ患者のいない病院へ移りました。もうひとりは、いったん看護師を辞めて故郷に帰るといいます。すぐに他の病棟から補充の看護師がやって来ましたが、コロナ病棟でのルールや感染防御について教えるのはいつも私の役目です。