著者のコラム一覧
小川誠司仙台ARTクリニック副院長

1978年、兵庫県生まれ。2006年名古屋市立大学医学部を卒業。卒後研修終了後に慶應義塾大学産科婦人科学教室へ入局。2010年慶應義塾大学大学院へ進学。2014年慶應義塾大学産婦人科助教。2019年那須赤十字病院副部長。2020年仙台ARTクリニックに入職。2021年より現職。医学博士。日本産科婦人科学会専門医。

不妊治療を続けても難しい場合の選択肢 卵子提供の実情と課題

公開日: 更新日:

■「生殖医療民法特例法」で提供配偶子による親子関係が明瞭に

 卵子提供は、若い女性からもらい受けた卵子をご主人の精子と受精させ、できた受精卵(胚)を自身の子宮に戻します。昨年12月に国会で生殖医療民法特例法が可決されました。この法案により、第三者から卵子を受けて妊娠・出産した場合、出産した女性を母親、夫の同意を得て夫以外から精子の提供を受けて生まれた子供は夫を父親とするとされ、これまで曖昧だった提供配偶子(精子・卵子)による治療を受けた場合の親子関係が明確化されました。

 実際には、この法案が成立するかなり以前から卵子提供を受けている患者さんは大勢おられます。これまでは国内で提供を受けることが難しいため、主にハワイやカリフォルニア、台湾などで卵子提供が行うケースがほとんどでした。しかし最近では日本にも卵子提供を仲介する業者が存在し、若い日本人女性をドナーとして、海外で採卵した卵子を日本人向けに提供するケースも増えてきつつあります。コロナ禍で海外への渡航が容易ではない現在、国内でもドナー女性の採卵を行い、卵子提供を行う医療機関も出てきました。

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