血圧が高い人ほど大腸・直腸がんの発症リスクがアップする
■血圧を下げればリスクは低下する?
本研究によって、高血圧と大腸・直腸がんの発症リスクの関連が示された。しかし、「血圧が高いから大腸・直腸がんになっているのか」「塩分過多や腸内環境の悪化といった因子が背景に潜んでいるのか」は不明であり、「血圧を下げれば、大腸・直腸がんリスクが低下するのか」についても、今後検討が必要だ。
日本で高血圧と診断されるのは140/90以上だが、いったん高血圧と診断されると、高齢者や一部の併存症合併例を除き、治療は130/80未満を目指し、家庭で測定する血圧では125/75未満を目指す。
「15年に発表された大規模臨床試験SPRINTにおいても、厳格な血圧コントロールによって循環器疾患を減らす効果が報告されています。今後、血圧と大腸・直腸がんの関係が確立されれば、高血圧の重要性はますます強く認識されるでしょう」
血圧は体重が増えると上がり、その逆も言える。コロナ禍で運動不足となり少し体重が増えただけでも、血圧上昇につながる場合もある。さらに、これから寒くなる季節は血圧が上がりやすいので、十分に気をつけたい。取り急ぎ、家庭用血圧計でチェックするところから始めよう。
◆計測のポイント
「家庭用血圧計で測定するときは、朝起きて、排尿をし、1~2分安静にしてから。起床後すぐや、慌てた状態だと、正しい血圧が測れません」(金子医師)