高齢者に多く処方されている「かゆみ止め」にも副作用がある
高齢になると、体にさまざまな変化が起こります。そのひとつに体内水分量の減少があり、主に細胞の中の水分量が減っていきます。細胞の中の水分は脱水になりそうなときの水分の供給源にもなります。それが少なくなるということは脱水になりやすくなるということでもあり、これは高齢者が熱中症に陥りやすい理由のひとつです。
そして、皮膚も細胞からできています。皮膚の細胞の水分が少なくなると、皮膚が乾燥してかゆみが出てきます。高齢者では皮膚のかゆみを訴える方も多く、そうしたときによく処方されるのがかゆみ止めのクスリです。
かゆみ止めには内服薬や外用薬などさまざまな種類がありますが、まずは内服薬についてお話しします。かゆみ止めとして使われるクスリの多くは「抗ヒスタミン薬」と呼ばれるものです。体の中でヒスタミンという物質が反応すると、かゆみなどのいわゆるアレルギーといわれる症状が出てきます。抗ヒスタミン薬は、このヒスタミンの働きを抑えることでアレルギー症状を改善します。
抗ヒスタミン薬の歴史は長く、市販の風邪薬に含まれているほど安全性も高いと考えられています。そのため、かゆみを訴える高齢者にもよく処方されていますし、私も頻繁に目にします。これは決して良いことではないのですが、中には複数の病院から似たような抗ヒスタミン薬が重複して処方されているケースもあります。