対がん新兵器「ハイパーサーミア療法」が高齢患者にやさしい理由
この治療法のメリットはほかにもある。併用すると抗がん剤の効果がアップすることだ。
「熱を加えるとがん細胞を覆う細胞膜の透過性が高まり、抗がん剤の取り込み量が増え、結果としてがん細胞内の抗がん剤濃度が高まります。さらにがん細胞が抗がん薬によるDNA損傷を回復しようとするのを、温熱が阻害する。この2つの理由から抗がん剤の効果がアップするのです」
つまり、ハイパーサーミアを併用することで抗がん剤の効果を高めることができるわけだ。
「あくまでもガイドラインに沿った治療を第1に行うことが大切ですが、高齢者で体力がない人、副作用の強い人などでは、この治療により抗がん剤を通常より減らしたりすることも今後は検討されると思われます。しかも、抗がん剤の効果を高める以外にもハイパーサーミア療法による加温でその人が持つ免疫力が高まることがわかっています」
うれしいことにこの治療法はほとんどのがんに効果があり、入院は不要。患者は治療器に約40~50分間横たわるだけでよく、週に1~2回のペースで通院治療できる。公的医療保険の適用となるため、治療費も安い。
村田会湘南大庭病院では1日6人で週5日、最大30人のがん患者を受け付けている。