対がん新兵器「ハイパーサーミア療法」が高齢患者にやさしい理由
同院ではすでに分子標的治療薬でも抑えられなかった肺がんの女性の腫瘍マーカーが下がり始めるなどの事例が出始めているという。
■がん細胞だけを選択的に攻撃
ハイパーサーミア療法とは、がんの塊が42.5度以上の熱に弱いという性質を利用してがんを治療する方法のこと。体の外側からがん細胞が潜む部位にAMラジオで使われる高周波電流を流してがんの塊を加温することで、死滅させる。
1990年には放射線と併用することを条件に「サーモトロン-RF8」を用いたハイパーサーミアが保険適用に。その後、研究が進み、現在では抗がん剤との併用及び温熱単独治療でも保険適用となった。最新の「サーモトロン-RF8 GR Edition」はコンピューターによる自動制御などにより、胃がん、肺がん、肝臓がんといった、体の奥底に潜むがんの塊への安定的な加温ができるようになり、効果も向上している。
「この治療法が優れているのは、結果的にがん細胞だけを選択的に攻撃して正常細胞へのダメージはあってもごく少ないことです。正常な細胞は熱が加わると周囲の血管は拡張して血流が増えて、熱を外に逃がします。一方、がんの周りにある血管は、急ごしらえのもろい新生血管であるため、血管が拡張せずに熱がこもってしまう。結果、がん細胞は正常細胞よりも早く熱の影響を受けて壊れてしまうのです」